平成12年度全道町内会活動研究大会は6月8日、札幌市かでる2.7において、道内各地より約230名の参集を得て開催されました。  本大会は、去る3月31日の有珠山噴火による被災地支援とあわせ、災害克服に立ち上がった自治会活動に学ぼうと、基調説明、被災地自治会からの活動報告、講演(テーマ:生きる力を育むためには/講師:酪農学園大学教授 坂本与市氏)の内容で開催されました。 席上、有珠地域への支援と活動への反映にむけて緊急アピールが賛同されました。




 有珠山は23年の短い休眠から覚め、数日間の地震の頻発を予兆として、3月31日、突如噴煙を空高く吹き上げ噴火しました。 虻田町・伊達市・壮瞥町の被災住民は、指示に従って取るものもとりあえず、後髪を引かれる思いでわが家を後にし緊急避難しました。
 突然の噴火という大規模な自然災害にもかかわらず、一人の死傷者も出さず、整然と避難できたその陰には、23年前の経験とともに、行政はじめ関係機関総力を上げての住民の生命を守る避難活動がありました。
  そのなかでも、「虻田自治連」と染めぬかれた腕章をした自治会連合会役員の、地域住民の最後の一人までの避難を見届ける決死の誘導があったことも、忘れられないことでありました。
  また、いち早く避難所にあっては、異なる地域からの混成となった避難所住民自らの組織化により、避難所内に自治会組織が誕生していました。
  町内会自治会は、住民に密着した地域環境や社会現象の歪みを、地域で共に生きる生活者としての共感と思いやりをもって環境改善していく能動的な組織であります。特に近年、地域における近隣の関わりが希薄になっていることが指摘されていますが、住民が寄り添い、支えあう、人間の最も先験的な働きを核として成り立っているのが町内会自治会であります。
 その意味では、有珠山の災害は、避難された住民の方々の多大な犠牲の上に立った、素朴な人間社会の成立ちの壮大なサンプルでもありました。そして、それに完璧に応える取組みを示した模範でもありました。
  しかし、現在なお帰宅できず、不自由な避難所や仮設での生活を余儀なくされている住民も多くおられます。全道の町内会自治会関係者として、被災された方々が一日も早く元の平穏な生活に戻られることを切に願い、当面、私たちは次の事項について推進することをここに宣言します。

  1. 災害に対する被災自治会の取組みに学び、今一度、私たちの町内会自治会活動の、住民が助け、支えあう相互支援体制づくりを推進します。
  2. 町内会同胞として被災地の町内会自治会に対する支援とともに、日頃から町内会自治会として災害に対する備えと対応について検討します。
  3. 社会福祉協議会をはじめ地域の関係機関団体との連携と協調により、誰もが安心して暮らせる町づくりを一層推進します。

平成12年6月8日
平成12年度全道町内会活動研究大会